2015年6月28日日曜日

電源インピーダンスの測定方法(低い周波数域の代表例)

こんばんは、現職特有である激務の6月を何とか乗り越え、何とか生きております。
おまけに今年は私事でゴタゴタが続き、結構暇無し状態でありました…トホホ…。

さて、最近電源インピーダンスという言葉で検索される方が多いです。
また、測定方法を連想させるような言葉も入っているので、
“ひょっとしたら世間様は電源インピーダンスの測定方法を知らないのではないか?”
と思った次第です。

電源インピーダンス自体は考えてみれば測定方法が分かる程度のものですが、いざ測定してみようとすると、合っているのか怪しくて確信が持てない測定項目でもあります。
おまけに考えるのが苦痛な頭のサボり癖の付いた方もいますので、結構ハードルが高いかもしれません。

電源インピーダンス自体を測定する目的ですが、
理想的な電源+内部インピーダンスという要素に分解した形で測定する事によって、測定対象(電源)の挙動をより明確化する
というのが1つの目的です。
ぶっちゃけた話、
周波数特性が平坦かつ位相も暴れないで、低いほど優秀
これで終わりです。

  • IRドロップでどこまで電圧が落ちるか分かりやすい
  • シミュレーションモデルで表して評価しやすい
  • 適正なコンデンサの選定を行う判断材料になる
とか、様々な利点もあります。
ただ、測定方法は確立していますが、電源インピーダンスは生ものです。

  • 電源の負荷量で変動する
  • 電源の入力電圧で変動する
  • 要するに電源の制御ループの制約や影響が直接的に出る
という側面も持っていますから、実使用条件下の全ての範囲で正しく測定する事がお勧めです。

測定に必要な機材ですが、
  • アナログディスカバリーや周波数特性分析器(オシレータとオシロスコープでも可能)
  • 電子負荷装置(特性の良い放熱板付きのバイポーラトランジスタでも可能)
  • 電流プローブ(無誘導抵抗でも可能だがより良い精度を要求するなら必須)

の3つで測定ができます。
参考までに私は

  • 周波数特性の測定ではHP3562Aとアナログディスカバリーとの併用です
  • 電子負荷装置はPLZ152WA
  • 電流プローブはAM503B + A6302 + A6304XL

これで100kHz程度まではそこそこ信頼性の高そうなデータが取れます。(10kHzぐらいから怪しいけど…。)
電流プローブは電流値にあった抵抗を使う事でも代用ができますが、その抵抗の周波数特性(等価的なインピーダンス)の挙動に注意する必要があります。
(抵抗は主は数特性が平坦ではなく、周波数によってインピーダンスが大きく変化します)


さて、本題の測定方法ですが、このような形で測ります。


この場合、
周波数特性分析器→アナログディスカバリー や、NF回路製のFRA
などを用いると良いでしょう。
AM503+電流プローブやTCP202が無い場合は 0.1~10Ω の無誘導抵抗(可能な限り周波数特性が平坦な抵抗)を用いて、インピーダンスの高いプローブで測定するようにします。

電子負荷装置を買えない貧弱な方やDUTがアレな方は、バイポーラトランジスタでも代用が利きます。ベースに信号を抵抗を介して突っ込んで、線形性の高い非飽和領域でガンガン発熱させながら測定しましょう。
それと以前書いた記事を読んで事前に特性を取る事をお勧めします。線形性の高いデータが取れる範囲≒測定したデータが傾向として判断できる領域です。


この方法は比較的低い周波数帯域(100kHz程度まで)のみ有効な測定方法です。
高周波を測定するにはシャントスルー法をお勧めします。
http://cp.literature.agilent.com/litweb/pdf/5989-8036JAJP.pdf
http://cp.literature.agilent.com/litweb/pdf/5990-9031JAJP.pdf
http://literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5990-9031JAJP.pdf

かなり易しめに書いたつもりですが、これで満足して頂けたでしょうか?
ふら~っと立ち寄って去ってゆくのではなく、コメント等でガツンと要望を書いてくれると話題提供しやすいのでお願いいたします。

ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ご意見や要望はこちらへどうぞ。