2014年5月11日日曜日

電子回路のコンデンサに関する設計方法 ~カーオーディオ編~

おはようございました

先日の記事は楽しんでいただけましたでしょうか?
さて、先日の話では生の設計したコンデンサでは、0.7F近い容量が必要です。
バッテリーの電圧や、マージンを配慮すると、電圧の耐圧は16Vでは少々不安ですので電気二重層コンデンサと言えど、結構な直列数。
そして直列=電圧のバランサ(簡易的には抵抗でもよい)も必要ですので、結構な面倒くささになります。
また部品点数増えたら、その分故障確率が上がるわけで、あまり好ましくありません。

そこで、アンプの入力につけるコンデンサに関して、内部にフィードバック機構がある場合=PSRR(電源ノイズ除去比)によって電源のノイズと出力のノイズの相関が綺麗に特徴のある形で現れますから、この値を用いて静電容量を決定します。
先日の機器CX-484の場合、1kHzより少し前から下がりだし、1kHzで40dB、以降20dB程度まで下がります。
このことから、1kHzぐらいを目標にして電源用のコンデンサを設計すればよいことになります。
では、先日の一連の流れを1kHz中心にして設計を行います。


先日の計算式から、
インピーダンス的には、13200μF
エネルギー出力の電圧低下的には69790μF
最大リップル電流や寿命は変わりません。
そうすると、結構現実的な値が見えてきます。

勿論、カーオーディオで120Wなんていう、中の人の鼓膜が破れかねないような、そもそも純正スピーカーが耐えれそうもないありえない非現実的な数値ではなく、現実的に使う領域の出力より少し上の値を目指せば問題ありません

インピーダンスは厄介で、出力していなくとも周波数帯で変動する為、下手にターゲットを絞るのが困難です。
そのため、出力電力+損失で出力のおおよその最大電流値を決定し、それに影響を与えない値を見積もって設計します。

参考までに、私の場合は突発性難聴持ち、安い車ですし、サイズの制限もあり、10000μF前後で落ち着きました。
そう考えると、入力のコモンモードチョークコイル(mHオーダー)は必須要件になります。
参考までに画像を添付します。





ポリアミドのホットメルトで機械的な補強を行い、電解コンデンサの排圧弁以外は埋めています。
純正のケーブルを少し加工し、容易に脱着できるように変更を行いました。
いつでもすぐに純正に戻せる改造こそが、真のあるべき改造だと思います。
基本は容易にアセンブリ毎での改造品交換ができることが必要です。

セラミックコンデンサを複数用い、電解コンデンサに流れるリップル電流を低減しています。
また、サン電子工業のEP-cap HVHコンデンサを2個使い、リップル電流を分散しながら高い周波数帯までインピーダンスを下げています。
低ESR⇒OSコンデンサを使うんじゃないの?と疑問を投げかける人も居るかもしれませんが、元三洋が開発した中でもこちらのコンデンサのほうが製造工程上において、絶縁膜が非常に強く、短絡状態での故障が殆どありません
元からマージンを広く取った耐圧設計なので、規程の耐圧ギリギリで動作させてもなんら支障はありません
また、内部の電解液が乾いてもOSコンデンサになるだけという形で終了するだけで、設計上の実用性は非常に高いです。

対してOSコンデンサは製造上絶縁膜がEP-capほど強くないため、耐圧があげれませんし、故障時に短絡状態での故障が時々現れることがあります。電圧もマージンを持って設計しなければなりません。

コンデンサの製造元が元々同じ三洋とは言え、設計思想が違う為に雲泥の差があります。コンデンサを使うときは必ず設計者の意図正しく理解して使用することをお勧めします。
ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

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